この身を突き動かすのはあなた。
南無阿弥陀佛
大気がぬくくなりました。 境内の植物達は十分に背伸びを終え、若い葉っぱを広げて空を満たします。
紅葉さん達は、その青葉の合間に小さな小さな花を咲かせて誠に微笑ましい限りですが、
大雨の後には充分にその水をたたえ、一々の花全てが輝く様に讃える言葉が見付かりません。
跡取りの小学校入学から、はや一週間が過ぎようとしています。
途中、親のミスで忘れ物をさせてしまい、申し訳ない日もありましたが、
「学校、とっても楽しいよ。」との言葉に、胸を撫で下ろす毎日です。
遺伝子の所為か、3月末のお誕生日だからでしょうか、
息子は、眉毛は立派ですが、身体はちょっと頼りない。
毎朝大きなランドセルさんに抱っこされて登校する姿は愛らしいものですが、
同時に「これが最後に見る後姿とならないか」と一抹の不安をおぼえてしまいます。
そんな私ですから「無事の帰宅」をたのまずにはおれません。
幸い、私のねがいには何のはたらきも無い事を聞かせて頂いておりますが、
何かを「たのんで」「ねがって」「いのって」いた我が身の事実は同時に、
私もまた「恃まれて」「願われて」「祈られて」いた事を、教えて下さいます。
子を心配すれば、親に心配をかけてきた事に気付かされ、
子育てに苦労すれば、苦労をかけて育ててもらったと思い知らされる。
このように、私は「経験」を通してしか、腑に落ちない。
この身が動かされないと、うなづかないのです。
さすればこそ、どうにもこの身を突き動かすおはたらきが、
私のねがいに先んじて、既にある事実に頭が下がるより他ありません。
さあ、
それでは今日も、眉毛如来のお帰りを心待ちにするとしましょう。
合掌
「私は、汗を流すか、泪を流すか、血を流さねば、ほんとうのことがわからない。」
前住職
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